言葉は変わる

よな抜きは耳に心地が良けれども6抜き言葉耳煩わす
民謡など日本古来の音楽での音階は4度と7度の音つまりファとシの音の無いのが特徴で、俗に“4・7(よな)抜き”音階といわれていますが、今の日本語は、6度の音ラが抜けた“ら抜き”言葉(ちょっと苦しいか)が主流になってしまったようです。
十数年以上前から、若い人たちを中心に“ら抜き”言葉が流行り?始めた時には、新聞やテレビでも取り上げられ色々と識者も意見を言っていましたが、今は完全にら抜き言葉が定着してしまったようです。
今テレビではニュース等で、誰かが話しているとその内容を同時にテロップで流していますが、その時に話をしている人が“ら抜き”で話していても、ちゃんと“ら”を入れたテロップを流してくれています。しかし、アナウンサーが原稿を読むときはキチンとした日本語で“ら”も入っていますが、原稿を離れて普通のしゃべりになると、平気で“ら抜き”言葉で話しています。
インタビューを受けているお年寄りでも、半分以上が“ら抜き”言葉になっています。さらに、文化人と言われている人たちも結構“ら抜き”言葉を使っています。
言葉はだんだん変化していくものなので、聞きにくいといつまで抵抗していても仕方がありません。あきらめるしかありませんが、何とも耳障りであります。
さらに、今、どんどん進出しているのが“ひ”です。東京の下町の人間は “ひ”というのが苦手で“し”といっていました。私が中学生の頃、英語の先生に何回も怒られました『彼女じゃなくて彼氏だ』と。自分ではHeといっているつもりでも先生にはSheとしか聞こえなかったのです。
初めて『布団をひいてください』と言われた時、思わず座布団を引いてしまい、どこに座ろうか悩みました。敷いてくださいと言われれば、何も悩まなくて済んだのですが。
また、冷凍餃子を調理しようとした時、作り方を見ると『油をひかずに』と書いてあったので、『油を敷かずに』の間違いではないかと思い、メーカーに問い合わせたところ(そのメーカーは東京が本社です)、「広辞苑に油を“引く”と出ている」との答でした。私の持っていたのは何と昭和51年発行の広辞苑でしたが、そこには“油を引く”とは出ていませんでした。