原子力は闇

でんとうの強い放射のうら側の闇の深さは測るすべなし
8月3日に『原子力損害賠償支援機構法』が成立した。今までに5カ月間も政治からほっぽらかしにされていた被災者への支援にはこれで弾みがついて、被災者には朗報だろう。
だが、なんとなく引っ掛かり、素直には喜べないところがある。
この法案にも、何か裏があると思ってしまう。原子力安全神話を作り出した東京電力や電子力村の御用科学者中心とした住民、原子力発電を推進して懐を大いに潤した政治家等々の安泰を図るもので、そのために国民の懐を狙っているような気がしてしまう。
子供のことを思い、お母さんが真剣に放射線量を測っている。そんなことをあざ笑うように、今までに、どれだけ情報を隠してきたのか。
事故が起きて初めの頃から、メルトダウンしていることを分かっているにも拘らず、していないとの発表。放射能が拡散しているのをシミュレーションで分かっているにも拘らず、避難勧告をせず住民を放射能にさらしたまま放置。国主催のシンポジウムでのやらせ。稲わらの測定放置で牛肉の混乱。今夏の関東エリアでの電力消費15%の基準となる“家庭の消費電力の推定値”のいい加減さ。(あんな推定値が基準値になるのなら、原子力を管理している東電の科学に対する姿勢に大いなる疑問があり、そんな程度の科学力で原子力を本当に制御できる思っていたとしたら、被災者の方々には申し訳ないが、こんな程度で済んで良かったと思う。下手したら、日本全土が放射能まみれになり、近隣各国にも大きな迷惑をかけてしまうところだった。)
また、原子力による発電は安い、といいながら、東電管内の標準家庭の一カ月の電気代6,222円のうち108円が電源開発促進税として原発のために払わされている。8月4日の朝日新聞の社説では「1世帯当たり月額300円含まれているとの試算がある」と書いてある。そんなこと請求書にも領収書にも書いていないし、国民にはまったく知らされていない。
こんなのは、まだ序の口で、原子力についてはまだまだ隠している情報がいくらでもありそうで、深い闇が横たわっていそうだ。
権力者にとって利益があり長く続けたいものには、表に見せるその輝かしさと比例して裏の闇は深く暗いのだろう。
そして、脱原発として、一基の原発解体をするには10年以上も掛かり、その費用も何百億円も掛かるという。さらに、使用済みの核燃料が安全になるまでには何万年も掛かるという、その保管場所に対する補償費用や保管費用等々。これらもまた、国民の懐から収奪するのだろうか。